A.炭酸ガスの血管拡張効果で、老廃物をため込みにくい体になるから
炭酸水は、真水と飲んだ感じが全く違います。清涼感があり、のどごしがよく、飲むとおなかがふくれてるような感じ……さまざまな感想をもつはずです。
そもそも炭酸水は、真水とどう違うのでしょうか?
「炭酸水」とは真水に二酸化炭素(CO2)が溶け込んだものです。二酸化炭素は空気中に気体としても存在していて、気体中にあるときは「炭酸ガス」、水の中に溶け込んでいるときは「炭酸」と呼ばれます。
水に溶け込んで安定している炭酸は、シュワシュワ泡立つことはありません。気泡となるのは、炭酸水に振動が加わったり、異物がふれたりしたとき。水の状態で炭酸をとどめておけなくなるため、泡となり出ていきます。
この泡が、飲んだときに満腹感をもたらしてくれます。実験では500mlの炭酸水を飲むと、炭酸ガスが胃のなかに充満するため、胃がふくらみ満腹中枢が刺激されることがわかっています。
一方、炭酸水を100ml程度飲むと、胃腸の活動が活発になり、食欲が増進。泡の刺激だけでなく、炭酸が入り込み、血管や細胞に働きかけることで、こうした変化が生じます。
もしダイエット効果を得たいなら、300~500mlくらい飲んでみましょう。満腹感で食べすぎを防止できます。
飲む前 |
150ml飲んだとき 少量飲むと、胃が刺激されて腸のぜん動運動が活発に。食べ物に備えて胃のスペースが確保され、食欲増進。 |
500ml飲んだとき 胃が炭酸水と炭酸ガスで満たされ、満腹中枢を刺激。胃のスペースが少なくなるため食欲も減少。 |
※資料提供 前田眞治
炭酸の注目すべき点としては、血管を拡張させる作用があります。
二酸化炭素の分子は、空気中ではまばらに存在しています。
しかし、水に溶けると、密度が高い状態で存在できるようになります。二酸化炭素の分子自体がとても小さいために、皮膚や胃腸の壁から浸透することができます。
分子が密に存在している水中の炭酸のほうが、空気にふれてガスになったものよりも効率よく浸透するのです。
浸透した炭酸が血管に入ると、血管の内側の壁を刺激します。そして、血管拡張ホルモンの「プロスタグランジンE2」が分泌されます。この物質が血管を広げて、血流量が増えて血行がよくなります。
皮膚や胃壁の表面から炭酸が浸透。血管に入った炭酸が血管の内側を刺激する。血管拡張ホルモン「プロスタグランジンE2」が分泌される。
血管拡張ホルモンの作用で血管が広がり、血流が増える。酸素や栄養分が、それまでより細胞にいきわたるようになる。
炭酸水を飲むと、胃の内側の壁(内壁)に炭酸ガスの刺激が加わります。同時に内壁から炭酸が浸透し、胃の血管そのものが広がっていきます。
血行が改善されると、胃と腸が連動して動き出し、消化活動が活発になります。必要な水分や栄養素が吸収され、老廃物は体外に排出されやすくなります。
老廃物がスムーズに排出されないと、ため込みやすく太りやすくなります。炭酸水は健康的で代謝のよい体をつくるサポートをしてくれるのです。